今夏の参院選で焦点となる全国32の「1人区」で、野党候補の一本化調整が難航している。主要野党の公認が競合する選挙区は現状11。国民民主党や共産党は積極擁立の構えを崩さず、全体の3分の1超の選挙区で、与野党「一騎打ち」の状況を作れないでいる。
- 国民民主幹部「我々は野党と組みたくないんです」 野党間の対立激化
「ギリギリの段階になってしまう所もあるかもしれないが、選挙本番まで努力を続けていきたい」。立憲民主党の野田佳彦代表は9日の記者会見で、1人区の調整状況について問われ、苦しい表情で語った。昨秋の衆院選直後から一本化の必要性を訴えてきたが、目標時期は「年度内」「4月メド」「できるだけ早く」と後退する一方だ。
朝日新聞の集計では、32の1人区のうち、立憲、日本維新の会、共産、国民民主、れいわ新選組の主要野党で公認が競合している選挙区は11。国民民主系の無所属と共産がぶつかる山形を含めると12に上る。福井と岐阜は三つどもえ、滋賀と奈良はれいわを除く4党が擁立予定で、調整をいっそう困難にしている。
野党で候補者を一本化できれば、政権批判票の集約が期待できる。実際、立憲、国民民主、共産、社民の4党は2019年参院選で候補者を一本化し、32選挙区で10勝を挙げた。調整が不調のまま臨んだ22年参院選では「共倒れ」が多発し、野党第1党の立憲は4勝にとどまった。
投票行動は必ずしも一致しないものの、昨年10月の衆院選比例区での4党の得票を、参院選1人区ごとに合算すると、ほとんどの選挙区で与党を上回る。野党の競合区は自民の地盤であることが多く、乱立は戦況をさらに厳しくしかねない。
背景に国民民主と共産の積極擁立
競合状態の背景となっている…